弁護士は相談料として愛を請求する

「早ければ昼過ぎに一度連絡出来ると思う」

「わかった。どっちにしても今日の夜に帰ればいいからここで待ってるね」

 嬉しそうにこちらを見てる。もう……これだからダメなんだよね。この微笑みに私はいつも負ける。昔から、たまに見せるこの笑顔が見たくてしょうがないんだ。

「あのさ、シャワーを浴びたいんだけど、着替えが……」

「この間、着替えたやつなら洗って洗面所の上の戸棚にあるぞ。そうだ、これからは少し着替え持って来ておけ」

「……でも、今後は泊まるのきっと難しいよ。志穂が引っ越すから。今日みたいに嘘付けない」

「まあ、お前の親父さんは……俺が何とかしないと無理そうだな」

 そう言いながら、バタバタと準備をして私を引っ張ると手のうえに鍵を握らせた。

「ここの、これをおまえに預ける。予備だから、すずがこれからは持ってろ」
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