弁護士は相談料として愛を請求する

 そう、断ればいいんだ。でも、男の人の真剣な目を見ると怖いのだ。それでいまだに男の人に強く出られない。

 どういう反応が返ってくるか、怒られたら何されるかわからないという恐怖で身体がすくみ、何も言えないのだ。

 のんに頼れないとなれば親友の志穗しかいない。私は志穗に事細かに今の状況とどうしたいかをメールした。

 そして、のんに相談しづらいと書いた。すると、驚くべき返事が来た。

『保育園の取引先のことなので、顧問弁護士にご相談お願いしますって、望君の事務所に正面から連絡しな』

『やだよ。まだ告白されてもいないのにそんなこと恥ずかしくて言えないよ』

『何言ってんだよ。これ以上触られたら我慢できるの?大体、その人のことってもう最初の時に相談済みなんでしょ、望君に……』

『だからこそ、怒られる』

『怒られるのはいつものことでしょ?それにこの間の相談料云々のこともキチンと聞くべきだよ』

『それも言いづらいからやっぱり……』
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