不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。

過去と現在



 一夜を共にして以来、私たちの関係は劇的に変わった。

 まず寝室を一緒にすることにした。
 しばらくは私が和仁さんの部屋に行く通い妻状態だったけど、ベッドを買い替えると同時に寝室も一緒にした。

 和仁さんは仕事でも何でも出かける時、必ず私に連絡してくれるようになった。
 今までは出かける、とだけだったけど、何をするのか教えてくれるようになって。ああ、私はこの人の妻になったんだと実感する。


「今日は桜花組の他支部との会合があるから遅くなる。先に寝ていて構わないから」

「はい、行ってらっしゃい」


 それからかなり意外だったのが、


「ジェシカ」

「――っ」

「行ってくる」

「……はい」


 和仁さんは意外にスキンシップが多いこと!

 行ってきますのキスをしてくれたり、帰って来たらハグしてくれたり。
 甘えたいと思った時に存分に甘えさせてくれる。

 多分私、今が一番幸せだわ。
 こんなに幸せでいいのかしらってくらい、幸せ。

 家のことも任せてもらえるようになった。
 今までは何もしなくていいお客様みたいな扱いだったけど、私の希望で家事も手伝わせてもらえるようになった。
 本当の意味でこの家の一員になれたような気がする。


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