初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
どうりで玄関に立ったときから甘い匂いがしていると思っていた。
「すまないね優莉奈ちゃん。女房が張り切っちゃってね」

俊介のお父さんが渋面を作って、だけどどこか嬉しそうな声で言う。
「嬉しい! 私甘いもの大好き!」

優莉奈はさっそくケーキを取り分けるのを手伝った。
「母さん、先に食事じゃないのかい?」

「あら、順番なんていいじゃない」
ケーキを作ってもらっていた上に、食事の準備まであるみたいだ。

自分の実家に戻ったときだってこれだけの歓迎を受けることはないので、感激してしまう。
「う~ん、美味しい!」

おばさんが作ってくれたショートケーキはクリームの甘さが控えめで、その代わり乗っているイチゴがとびきり甘くて新鮮だった。
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