初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
そういうことは、よくあることだった。
「先輩の方はどうなんですか?」

「私は……」
正直、よくわからなかった。

一樹のことをちゃんと好きになっていないと自覚したあとも連絡を取り合っているけれど、ついメッセージに返事し忘れたり、一緒にいてもぼーっとしてしまうことが多くなった。

そしてそういうときには必ずと言っていいほど、純白ドレス姿の自分とタキシード姿の俊介が脳裏に浮かんできているのである。
もちろんすぐにその妄想をかき消すのだけれど、一樹には見破られているんじゃないかと感じるときがあった。

「よ~し、今日も頑張るか!」
人が悩んで黙り込んだタイミングで元気が有り余っている俊介が出勤してきた。

振られたというのに笑顔がとても爽やかだ。
「俊介って今までもそんな感じだったの?」
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