神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
時間をかけて、こんこんと説教を繰り返し。

とりあえずベリクリーデが大人しくなったので、俺はようやく一息つけた。

いや、全然油断出来んけどな。

シュニィよ、やっぱり俺はネクロマンサーの見張りは無理だ。

ベリクリーデを見張ってないと、俺が目を離した隙に、何をやり始めるか分かったもんじゃない。

あぁ。身体がもう一つ欲しい気分だ。

…それなのに。

「あぁ。あの猫欲しかったなー」

まだ言ってる。

「ジュリスも見た?毛がつやつやしてて、美味しそうだったよね」

毛並みが綺麗なことを「美味しそう」と表現するのは、お前だけだろうな。

「まぁ…野良猫にしては綺麗だったな」

もしかしてあれ、野良猫じゃなくて飼い猫だったのかもな。

つくづく逃げられて良かったと思うよ。

飼い主さんを泣かせるところだった。

「でも、何でここに迷い込んたんだろう。初めて見たよ」

「…そういやそうだな」

俺も聖魔騎士団に入ってから、しばらく経つが。

魔導隊舎の敷地内に猫が迷い込んだのは、初めて見た。

一応、そこそこの警備はしているはずなのだが…。一体何処から入ってきたのやら。

「まぁ、猫って奴は気まぐれな生き物だからな」

「そっか。困ったもんだねー」

「お前が言うか」

お前の気まぐれぶりと言ったら、前世が猫だったんじゃないかと思うくらいだぞ。

「また会えるかな?あの猫ちゃん」

「…もう会わなくて良いよ…」

猫のソーセージ騒ぎなんて、もう二度と御免だ。
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