君と初恋をもう一度
新しい恋をして、なぎくんのことなんて忘れてやる…!





「はじめまして。隼人の友達の木下凱(きのしたかい)です」



木下さんは思っていたよりもずっと好青年だった。



木下さんと初音たちカップルと水族館に行くことになり、木下さんの車で向かう。


助手席に座りながらチラリと後ろにいる初音を見ると、いい人そうだねと小声で言われた。



「楓花ちゃん、そんなに可愛いのに彼氏できないんだ?」


「いや、可愛いなんてそんな…。つい最近まで好きな人はいたんですけど…」


「失恋しちゃった感じ?」


「えっと、まあそんな感じです」



木下さんはそれ以上その話題に触れてくることはなく、他愛もないことをたくさん話してくれた。


無言の時間がないくらいずっと話していると、あっという間に水族館に着いた。



水族館なんて小学校の遠足以来行っていないから、なんだか懐かしい気持ちになる。



「見て見て、楓花!でっかいサメいるー!」



誰よりもはしゃいでいる初音に、可愛いなあと笑いながらでかい水槽に近づく。
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