君と初恋をもう一度




小学一年生の春。入学してから一週間くらいが経つが、まだ友達が一人もできないでいた。


同じ幼稚園の子はみんな別の小学校に行ってしまい、周りは知らない人だらけでどう話しかけたらいいかわからなかった。



中休みにクラスみんなで外に遊びにいっているのを、教室の隅で絵を描きながら眺めていると前に誰かが来た気配がした。



「外、行かないの?」



サラサラの黒髪が窓からの風でふわっと持ち上げられ、きれいな瞳と目が合った。


たしかこの子は…小宮山渚(こみやまなぎさ)くんだ。


毎日たくさんのクラスメイトに囲まれている人気者。そんな彼が、どうして私なんかのところに…。



「ねえ、聞いてる?」


「へ…?あ、えっと…」


「おーい、なぎー!早く来いよ、鬼ごっこ始まんぞー!」



友達をチラリと見てから、小宮山くんが私の手をぐいっと引っ張ってきた。



「まあいいや。行こ、楓花」



当たり前のように私の名前を呼び捨てし、狭い教室から引っ張り出してくれた小宮山くんに、この頃から恋に落ちていたのかもしれない。


それから仲のいい友達もできたし、なぎくんと呼ぶくらいに小宮山くんとも仲良くなった。
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