再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
セーラはぎゅっと唇を噛みしめて、マオの頬を両手で挟み込んで宣言した。
「私の純潔、あげる」
「ほ、本当に?!セーラならきっとそう言ってくれると思った」
金色の瞳がとろとろに解けてふにゃふにゃと顔の筋肉まで失くしてしまったほど顔が緩む。マオの喜びで綺麗な顔が蕩けていった。
セーラがマオに向かって約束の小指を突き立てる。
「ゆびきりげんまん♪私がマオに純潔をあげたら、皆を元にもーどす!」
マオは男らしい骨ばった小指を立てて、セーラの細くて折れそうな指に絡めた。
「ゆびきりげんまん♪セーラが今度、僕の前から消えたら、人間滅ぼす♡指切った!」
純潔を捧げたら皆を元に戻しますという指切りだったはずだが、最後にはマオの不穏な言葉が流れた。
「……最後のは魔王ジョークだよね?」
「さあ、どうだろうね?」
マオは、とびきりの笑顔だった。
セーラの中でメラメラと保護者根性が燃え上がった。
(私がいなくなって寂しくてちょっぴりグレちゃったマオの責任は私がとる。
このアラサー女のしょうもない純潔で良ければ、いくらでもくれてやるんだから!)
ちょっぴりどころではないが、グレ散らかしたマオの凶行を止めるためだ。
セーラは、保護者の責任として、純潔を捧げることになった。