再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
デュオがお得意の無表情でマオに無骨に返事をすると、マオがにっこりと人好きのする笑顔の見本を見せる。
「もうちょっと笑うとかすれば?表情筋の動かし方知ってる?」
「必要な時は笑います」
「人間ってのは楽でいいよね。ブスっとしててもそれだけで死刑対象にならない」
「人間ですからね」
「僕は表情筋なんてフル活用さ。ニコニコしてなきゃ、魔王だからって社会からハブられて殺せって言われるんだから」
マオは机の上に肘を乗せて両手を組み、にっこりと金色の目を細めてデュオに笑いかける。
「怯えてばっかりで弱い人間が滅びる日は、近いよ」
男二人の執務室では、マオの不穏な微笑みが夜に消えていった。