静穏総長も、時には激しく愛したい
安心とキケン





お別れの挨拶をして、数日が経った。


家のことで奔走する私は、学校でヘロヘロだったけど……。

私よりも、ヘロヘロになっている人を見つけた。

というか、今だに目で追ってしまう。


なぜなら――


その人は、私の好きな人だったから。



「澪音ー、窓から何みてんの?」

「あ、ふくちゃん」

「やぁやぁ」



現在、放課後。


帰る準備が出来た私とは反対に、ふくちゃんは筆箱を持っていた。そういえば、これから委員会とか何とか言ってたっけ。



「特に、何も見てないよ。これから委員会だよね、がんばって」

「……おうよ」



ふくちゃんは、本当は気づいている。今、校門を出た奏さんを、私がずっと目で追っていたことに。

いつもなら、


『千秋先輩、今日も麗しいねぇ』


とか言うだろうけど。傷心中の私を察してか、ふくちゃんは奏さんの事には触れずにいた。

その気遣いが、ありがたい。
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