静穏総長も、時には激しく愛したい
「ここに来る前、暗い顔した奴を拾ってなぁ。聞くと、”自分が加入している暴走族の総長に不満がある”ってんだ。だから、俺の仲間に引き入れた。

だから、いいよな?
コイツを貰っても」



その言葉と共に、夕暮の隣にスッと出てきたのは――



「睦……?」

「総長、すんません。俺、女にうつつ抜かしてる総長の下で、族やりたくないんです」



睦……?
誰かは分からないけど、あの声……。


――あれ? 総長~どこ行ったんです?


路地裏で私と奏さんがバッタリ会った時に、聞こえていた声だ。ということは、あの人も暴走族の人。



「お前が女ばっか構うから拗ねてたぞ~。総長なら、部下をきちんと育てねーとなぁ?」

「……睦、裏切ったのか?」



夕暮の話は聞かずに、奏さんは睦という人を真っすぐ見た。一方で、見られた睦さんは、気まずそうに視線を逸らす。
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