静穏総長も、時には激しく愛したい

「俺は、ただ……【青翠】の名を大きくしたいだけ。それだけなんです。

だってのに、いつからか総長は、その女の事ばかり。

だから夕暮さんに手をかしてもらったんです。総長の手の届かないくらい、女を遠くへ飛ばしてやるって言うから」

「……睦、そこの男は犯罪者。その男の下についた時点で、お前も共犯者だ」

「そんなの……分かってますよ‼」



ビリビリ、と。
鼓膜が揺れるほどの、大きな声。

だけど、睦さんの顔を見る限り……その大声は、悲痛の叫びに聞こえた。

眉の中央にシワを寄せ、口はへの字に曲がり、そして……その目が、どこか私と似ている。



「(あぁ、そうか)」



この人も、奏さんの事を好きなんだ。
総長が、大好きなんだ。
だから、私と似た目をしている。

だけど奏さんは、私を消そうと夕暮と共闘した睦さんの事を、許せないらしい。

手をゴキッと鳴らして、


「そっちがその気なら……仕方ないね」と。


足を前と後ろに開き、戦闘態勢に入った。
< 156 / 315 >

この作品をシェア

pagetop