静穏総長も、時には激しく愛したい

ひかり・生吹




*ひかり*



警察に一通りの事を話した日。
僕は山奥にある施設に入る事になった。

僕の責任者として、なぜか春風生吹という人が同伴してくれている。なんでだろう?と不思議だったけど……

施設に行くまでの、長い時間。

春風から色んな質問を受けて、その疑問は解消された。



「――今までの質問で、ざっと知能を確認させてもらった。

基礎知識を持っているだけじゃなく、応用も効く。更には社会情勢も詳しく、日本企業についての理解も深い。そして負け知らずの腕っぷし――良いな」

「――……”良い”?」



僕を使って一儲けしようと、見ず知らずの男たちに強制的に学ばされたこと。そんなもの、何の役にも立たないと思っていた。

だけど「良い」んだ。

春風のクイッと上がった口角を見て、素直に嬉しくなる。
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