静穏総長も、時には激しく愛したい

伊織さんがそう言ったのを、今度こそ純弥さんは否定しなかった。

だけでなく「写真で見たくらいだよ」と白状する。



「……だけど、ねぇ」



純弥さんは、さっきの光景を思い出す。

私の隣にいた、澄のことを――



「姫をお迎えに行けないほど、随分なボディガードがついてるなぁ。
まさか他にもいたりしないよね? 姫を好きな奴」

「?」



言いながら、眉を下げて笑った純弥さんを見て。伊織さんは「意味わからん」と、肩をチョイと上げる。



「ま、続きは退院した後に聞くか。
純弥、もう抜け出すなよ」

「えー、だって暇なんだもん〜。

あ、そうだ!
千秋くん呼ぼうかな。総長なんだよ!」

「おー、呼べ呼べ。こちとら、お前が抜け出さなかったら何でもいいからな」



その後。



目的地である病院を通り過ぎ「飲もうか」と、弾ける笑みを浮かべる純弥さんを見て、伊織さんは無言で頭を叩く。


そして歩かない純弥さんを無理やり引きずりながら、病院に身柄を引き取ってもらうのだった。


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