冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 暴力団のトップに狙われているかもしれない。そんなありえない状況だったからこそ、警察官僚である彼との結婚を受け入れた。もちろん事件が解決したら離婚する予定だ。

(それなのにどうして?)

「君はひとりじゃない。俺という家族がいるだろう」

 力強い言葉とまっすぐな眼差しに胸を打たれる。

(お願い、揺さぶらないで)

「蛍のことは俺が必ず守る」
「警察としてではなく、夫としてだ」

 温かな胸のなかはあまりに居心地がよくて、またひとりに戻る日が怖くてたまらなくなる。イミテーションだと知りながらも、彼がくれる甘い情熱に溶かされていく。

 気がついたときにはもう、息もできないほど溺れきっていた。

(愛は信じないはずだったのに……)





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