狐火の家のメイドさん 〜主人に溺愛されてる火傷だらけの侍女は、色々あって身一つで追い出されちゃいました。



 さぎりが照れ隠しに、おはぎを口に頬張ると、御影がため息を吐きながら、小さく呟いた。

「これだけ好かれているのに、あの子は何をしているのかしらね」
「え?」
「いいえ。なんでもないのよ、さぎりちゃん」

 首を傾げるさぎりに、御影は微笑むばかりで、何も言わなかった。

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