狐火の家のメイドさん 〜主人に溺愛されてる火傷だらけの侍女は、色々あって身一つで追い出されちゃいました。

12 狐




「……そうか。お前、あの時現場に居たのか」


 背筋を凍らせたさぎりに、男は――龍美(たつみ)征雅(せいが)は、舌打ちをする。

 あの香り袋は、四年前、音梨(おとなし)家のある人物が作り、『狐を滅するために』と提供してきたものだ。
 音梨家は、異能の力を蓄え、自由に使うことのできる道具を作る事に長けている。

 そして、征雅は四年前、萩恒家への襲撃に備え、数多の香り袋に自身の異能の力を込めた。

 人の体に作用する龍美家の力。
 癒しのそれではなく、異能が使えなくなるほど、体を狂わせる()()()を、その中に籠めたのだ。

 そして、異能の力が使えない今の征雅にとって、四年前に使わなかった余剰の香り袋だけが武器だった。
 だから仕方なくそれを部下に持たせ、思惑どおり、火傷痕の女と狐を捕えることに成功した。

 しかし、火傷痕の女は、征雅が四年前の事件に関与していることに気がついてしまった……。


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