カバーアップ
「このあいだ、有名人がやってるのでたまたま知ったんですけど。
もともと入ってるタトゥーの上から別のタトゥーを入れて、新しい絵にしてしまうことができるそうなんです」
課長の瞳は不安そうに揺れていた。
それを安心させるように微笑んでみせる。
「だから私が、満智さんの上から私を刻んで、新しい菅野課長にしてはいけませんか」
手を伸ばし、テーブルの上にある彼の手を掴む。
「できるかな、そんなこと」
すぐに課長が、指を絡めて握り直してきた。
「できますよ、きっと」
「そうだね」
やっと笑ってくれた彼の目には、涙が光っていた。
満智さんと比べられたって、気にしない。
それよりも、もっとずっと彼を幸せにして、私でいっぱいにするほうが、建設的じゃないか。
そしていつか。
課長の魂に新しく、私って絵を完成させる。
【終】
もともと入ってるタトゥーの上から別のタトゥーを入れて、新しい絵にしてしまうことができるそうなんです」
課長の瞳は不安そうに揺れていた。
それを安心させるように微笑んでみせる。
「だから私が、満智さんの上から私を刻んで、新しい菅野課長にしてはいけませんか」
手を伸ばし、テーブルの上にある彼の手を掴む。
「できるかな、そんなこと」
すぐに課長が、指を絡めて握り直してきた。
「できますよ、きっと」
「そうだね」
やっと笑ってくれた彼の目には、涙が光っていた。
満智さんと比べられたって、気にしない。
それよりも、もっとずっと彼を幸せにして、私でいっぱいにするほうが、建設的じゃないか。
そしていつか。
課長の魂に新しく、私って絵を完成させる。
【終】


