カバーアップ
「……菅野課長は私に好意を抱いている、ということでしょうか」

返事の代わりなのか、空になったパフェグラスに彼がスプーンを投げ入れ、カランと軽い音が鳴る。

「反対に聞くけど。
桜井は僕に対して、好意を抱いているよね?」

じっと彼が私を見つめる。
その瞳は嘘をついても見透かされそうで、正直に肯定の返事をした。

「……はい」

「だから、結婚指環を探そうと言ってくれて、嬉しかったんだ」

ふっと嬉しそうに課長が口もとを緩める。

「だって菅野課長にとって満智さんは、とても大事な人なのはわかっていますから」

だからこそ私は、課長の可愛い笑顔を見られるだけで満足しようと決めたのだ。

「そうだ、満智は僕の魂に刻まれている。
もし、桜井を好きになったとしても、常に満智と比べてしまう。
だから君の気持ちには応えられない」

どうして課長はこんなに苦しそうなんだろう。
まるで私を傷つけたくないから、遠ざけるみたいな。

「菅野課長」

真っ直ぐに課長の目を、レンズを挟んで見つめる。
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