カバーアップ
でも、あの可愛い笑顔を今、独占するくらいいいよね?



「あ、これいいかも」

休みの日、ニャンスタで美味しそうなパフェの情報を見つけて、早速、菅野課長にメッセージを送ってシェアする。

【今度、一緒に行きませんか】

しばらく見つめたけれど、既読にはならない。
諦めて、他にもなにかないか、SNSのチェックを始めた。

あれから私は、菅野課長とたまに一緒にパフェを食べに行っていた。
毎回、課長は「おいしー」とふにゃふにゃ笑っている。
その笑顔を見られるだけで幸せだったし、どんどん彼を好きになっていった。
でも同時に、どんなに私が好きになっても、課長は私のもになってくれないのだと、毎回その左手薬指に嵌まる指環が自覚させ、悲しくなった。



その日も私は菅野課長と、パフェを食べに来ていた。

「おいしいねー」

パフェを食べた課長が、今日も幸せそうにふにゃんと笑う。
それに私の心もほっこり温かくなった。

「そーですねー」

これで左手薬指の指環がなければ最高……って。

「菅野課長。
結婚指環はどうしたんですか?」

「あー……」

ちらりと彼の視線が、自身の左手に向く。
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