孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
いつか来る終わりをただ待って、魔物を守る準備だけ進めて。それだって必死に調べていたわけではない。この長すぎる永遠とも思える時間の中で、いつか完成させればいいだけだ。
朝もなく、昼もなく、夜もない。ただ泥のように流れる時間に身を任せていただけだ。
そんなときに突然彼女が現れた。俺にとって一番憎むべき相手である『白の花嫁』だと言って。
彼女は食事を作り、俺に朝と昼と夜を教えた。
約束の時間だと言って、毎日同じ時間に部屋を訪れた。
花を共に植える事で、四季を想った。
二十年間、時間が過ぎるのをじっと待っていただけの俺に『毎日』が生まれた。
これから何百年と続く無意味で暗い人生に現れた、唯一の光だ。
「アイノ」
聞こえるわけがないのに名前を呼んでみる。
昨日もその名を何度も呼んだけれど、昨日は『白の花嫁』を呼んでいただけだ。
今は確かに――彼女の名前を呼ぶことができた。
『夜』が来れば、動物としての欲に黒く塗りつぶされると思っていた。
彼女への小さな恋心も、今まで過ごしてきた時間も、全て塗りつぶされて支配されて上書きされるのだと。
でも朝を迎えて知ったのは、全て本心の延長に過ぎないということ。
……ただ、感情が増幅しすぎて制御できないだけだ。普段ならとても口に出せない言葉がぼろぼろと出てくる。
アイノに対してこんな感情を持っていたのかと自分でも戸惑うほどに。
しかし身体から零れ落ちた言葉たちは全て偽りなどではなかった。
単に大げさに吐き出されただけの丸裸の感情で、アイノに対する気持ちを嫌でも自分に知らしめるだけだった。
朝もなく、昼もなく、夜もない。ただ泥のように流れる時間に身を任せていただけだ。
そんなときに突然彼女が現れた。俺にとって一番憎むべき相手である『白の花嫁』だと言って。
彼女は食事を作り、俺に朝と昼と夜を教えた。
約束の時間だと言って、毎日同じ時間に部屋を訪れた。
花を共に植える事で、四季を想った。
二十年間、時間が過ぎるのをじっと待っていただけの俺に『毎日』が生まれた。
これから何百年と続く無意味で暗い人生に現れた、唯一の光だ。
「アイノ」
聞こえるわけがないのに名前を呼んでみる。
昨日もその名を何度も呼んだけれど、昨日は『白の花嫁』を呼んでいただけだ。
今は確かに――彼女の名前を呼ぶことができた。
『夜』が来れば、動物としての欲に黒く塗りつぶされると思っていた。
彼女への小さな恋心も、今まで過ごしてきた時間も、全て塗りつぶされて支配されて上書きされるのだと。
でも朝を迎えて知ったのは、全て本心の延長に過ぎないということ。
……ただ、感情が増幅しすぎて制御できないだけだ。普段ならとても口に出せない言葉がぼろぼろと出てくる。
アイノに対してこんな感情を持っていたのかと自分でも戸惑うほどに。
しかし身体から零れ落ちた言葉たちは全て偽りなどではなかった。
単に大げさに吐き出されただけの丸裸の感情で、アイノに対する気持ちを嫌でも自分に知らしめるだけだった。