孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜

25 答え合わせをしてみれば、

 

 夜に何度か訪れているけれど、昼間に訪れるアルト様の部屋はなんだか変な感じで。昨夜と部屋の明るさも変わらなければ、同じくベッドに腰掛けてもいるのにまるで違う部屋に入り込んだ気がする。

「体調が悪いのか?」

 アルト様はそう言うと私を凝視した。顔色や仕草をチェックして、私の身体だけを純粋に心配している。
 ショコラが言っていた「斜め上の想像」を思い出す、こういうことだ。失礼な話だけどアルト様が私の恋心に気づくとは到底思えなかった。だから、私から言うしかないのだ。

 だけど、なんと切り出していいかはわからない。
 勢いで部屋を飛び出してきたものの、何を話せばいいかわからない。私の気持ちを伝えて、それでどうすればいいのか。


「辛いなら横になるといい」

 考え込んだ私にアルト様はそう言うと、扉の向こうを指を向けた。すぐに扉が開いて水差しがゆらゆらと運ばれてくる。

「水は必要か? 気分は?」
「……すみません」

 心配してくれる仕草が愛しくてどうしても頬がゆるんでしまう。

「何がおかしい」
「すみません。――アルト様、キスしてくれませんか?」
「な……」

 自分の口から突然滑り出た言葉に私自身も「はあ!?」と叫んでいる。何を話せばいいかわからなくて焦った末にとんでもないお願いが滑り出てきた。

「今魔力を渡しても夜には関係ないぞ」

 呆れた声が聞こえる。声と同じく呆れた顔がそこにあると思って見上げると、顔を真っ赤にして目をそらしたアルト様がいた。
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