孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
でも今、欲しいものが言えないのは。この場所を失うのが怖いから。使用人でも、なんでもいいからここにいたい。
でも使用人ではもう足りなくて。このめちゃくちゃな感情に絡め取られているのが辛かった。
ほどいた感情はシンプルで、アルト様のことが好き。アルト様の特別になりたい。ただそれだけのことだ。
「私は買い出しに行ってくるわ。夕食の時間には帰るから久々にアイノの料理が食べたい」
「何が食べたい? 何でも作るわよ」
「じゃあ焼き魚と人参スープは絶対に。あとサラダも食べたいわ。デザートのプリンも」
「わかった」
「じゃあ行ってくるわね」
「ありがとう、ショコラ」
ショコラはデスクに飛び移ると、買い出しメモを咥えて部屋から出ていった。
「よし!」
私は自分の頬を思いっきり叩いた。
そうよ、一人メソメソして悲劇のヒロインしている場合じゃないんだわ。
私はヒロインなんかじゃない。ただのモブだから。自分で勝ち取らないといけないのよ。
気合いを入れて立ち上がると、アルト様の部屋まで向かう。
ノックをすると、すぐに扉は開かれて「どうした?」と気遣う声音が聞こえる。
「お話があるのですが! 入ってもいいですか?」
でも使用人ではもう足りなくて。このめちゃくちゃな感情に絡め取られているのが辛かった。
ほどいた感情はシンプルで、アルト様のことが好き。アルト様の特別になりたい。ただそれだけのことだ。
「私は買い出しに行ってくるわ。夕食の時間には帰るから久々にアイノの料理が食べたい」
「何が食べたい? 何でも作るわよ」
「じゃあ焼き魚と人参スープは絶対に。あとサラダも食べたいわ。デザートのプリンも」
「わかった」
「じゃあ行ってくるわね」
「ありがとう、ショコラ」
ショコラはデスクに飛び移ると、買い出しメモを咥えて部屋から出ていった。
「よし!」
私は自分の頬を思いっきり叩いた。
そうよ、一人メソメソして悲劇のヒロインしている場合じゃないんだわ。
私はヒロインなんかじゃない。ただのモブだから。自分で勝ち取らないといけないのよ。
気合いを入れて立ち上がると、アルト様の部屋まで向かう。
ノックをすると、すぐに扉は開かれて「どうした?」と気遣う声音が聞こえる。
「お話があるのですが! 入ってもいいですか?」