孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜

09 ゴロゴロ多めの丁寧な暮らし

 

 私が白の花嫁(仮)として魔の森に押しかけて、完全スローライフが始まり一週間が経った。

 起床してそのままベッドでのんびりゴロゴロして、ひと手間かけた朝食を作り朝ごはん。洗濯物を干し終えたら芝生でゴロゴロ。日光浴が済んだら軽く家全体の掃除をする。
 昼食と簡単なおやつを作り、食事の後はおやつを食べながらゴロゴロ。気分が向けば、書斎の本を借りてみたり、重点的に掃除したい場所をじっくりやっつけたり、ショコラとティータイムしたり。そしてまたおやつを食べてゴロゴロ。そうしているうちに夕食の準備だ。

 案外一日というのはあっという間に過ぎる。
 プリンシラ家で他の人間にビクビクしながら過ごす時期の何百倍も幸せなのはもちろん、魔法学園にいる時より穏やかな気持ちだ。
 サンドラのいじめ問題はともかく、同年代の人間に囲まれて多少なりとも気を遣う寮生活に比べれば。なんと穏やかな時間か。
 のんびりな時間が私には合っていたみたい。ダラダラと、ゴロゴロと過ごすけれど、清潔感ある環境で美味しいものを作って食べて。自分のためだけに行動する。スローライフ最高!


 だけど、魔法学園に通えなくなって残念なこともある。リイラと会えないこと、それから呪文を学べないことだ。



< 52 / 231 >

この作品をシェア

pagetop