孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
 ツリーを嬉しそうに眺めていたショコラが聞いてくる。余計な事を言うなという目でアルト様はショコラを見る。

「婚約指輪ですね、そろそろ本物の花嫁になりたいです」
「本気のやつがきたわね」
「重いな」
「ふふ、冗談ですよ。一緒にケーキ食べてクリスマス会しましょうね。約束ですよ」

 アルト様とショコラへのプレゼント何にしよう。やっぱりクリスマス定番の編み物なんかがいいかもしれない。この屋敷に毛糸や編み棒はあったかしら。この屋敷は探せば案外色々なものが出てくる。後で探してみようっと。

「私からアイノへのプレゼントは変身魔法っていうのはどうかしら。アイノそろそろ街に出たいんじゃない? クリスマスの買い出しに私と行きましょうよ」
「え、でもいいんですか?」

 アルト様を見やると「王都へは行くなよ」と一言だけ発し、部屋に戻っていった。

「こないだアルトから言ってきたのよ。アイノも出かけたいんじゃないかって」
「アルト様が……?」

 意外な提案に驚いた、出かけられるなら出かけたい!
 ここでのスローライフに不満があるわけではないけど、ショコラに依頼するのではなく、自分の手にとって選びたいなと思うこともある。
 それにクリスマスシーズンの街並みはどこの世界も素敵だと決まっている。フォスファンの世界も例外ではなく、背景がクリスマス特別仕様になってて可愛かった!
< 80 / 231 >

この作品をシェア

pagetop