孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜



 六月の魔の森は梅雨が訪れていた。日本の価値観が組み合わされたこの世界は四季も日本風だ。

「今日も雨かあ」

 目覚めて時計を確認すると、朝七時だ。部屋はまだ暗く、今日は大雨になるのかもしれない。
 梅雨が来る前に種まきをし終えてよかったと思っていたけれど、天気が荒れるなら何か対策をしたほうがいいかもしれない。今日は園芸入門を読んで過ごすか。

 身支度を軽く整えて廊下に出ると、アルト様の部屋からアルト様とショコラが出てきた。

「おはようございます」

「アイノ」

 ショコラの緊張感がある声を初めて聞いた。二人を見ると、見たことないほど深刻な表情をしていた。

「暗黒期が来たわよ」
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