財閥御曹司とお見合い偽装結婚。
「……采羽ちゃんは、気持ち変わらない?」
「もちろんです! 私、ずっと翠翔さんに恋焦がれてたんです。翠翔さん以上に素敵な男性は知りません」
彼以上のかっこよくて優しくて素敵な人に今までもこれからも会うことはないと思う。
「じゃあ、抱きしめてもいい?」
「え、あっ……はい」
体が熱くなるのを感じてドキドキしていると翠翔さんの手が背中に周り私を引き寄せるとぎゅっと優しく抱きしめてくれた。
「……っ……」
今までこんなふうに男性に抱きしめられたことなんて今まで生きてきた中でもお兄様くらいだ。心臓の鼓動が早くて、彼に聞こえてしまうんじゃないかと心配になる。でも、お兄様とは違う安心感があった。