魔獣鑑定士令嬢は飛竜騎士と空を舞う
「は、はいっ」
「お前に、会って欲しい者がいるのだ」
「えっ。どなたでしょうか……」
その問いに国王が答える前に、隣に座っている王妃が「入りなさい」と声をあげた。謁見の間は、謁見を行う者たちの出入り口以外に、王族の出入口が奥にある。そちらの扉が開いた。
「失礼いたします」
「!」
その扉から現れたのは、金髪に碧眼で綺麗な顔立ちの、だが、少しおどおどとした表情をした青年だった。
「ディーン様」
その声を聞かなくともわかる。彼が第二王子だ。ヒースは唇を引き結んだが、それへ国王からの声がかかった。
「ヒースは下がれ」
「はい……」
ヒースは仕方なく国王に一礼をした。それから、ちらりとナターリエを見れば、彼女は瞬きもせずに第二王子を見つめている。だが、それに声をかけるわけも行かず、唇を噛み締めて彼は謁見の間を後にした。
「ナターリエ」
「あっ、あの……ディーン殿下。お久しぶりでございます」
「うん。元気そうで……よかった」
たどたどしい言葉。ナターリエも困惑を隠せない。
「その……突然の、婚約破棄、申し訳なかった……」
「い、いいえ……あの……」
困って、ナターリエは国王と王妃を見る。もう駄目だ。これは、ここで再度婚約をさせられてしまうのだ。その怯えの視線に、王妃は小さく笑う。
「ナターリエ。ディーンからの謝罪を聞いて欲しいのです。奥へ」
「えっ?」
「こちらへ」
ディーンはナターリエに手を差し出した。おずおずとその手に自分の手を乗せると、ディーンは彼女を自分が出てきた扉に誘い、あっさりと謁見の間を後にした。
(ここを通すということは、わたしは王族とみなされている?)
そう思えば心が沈む。が、それを見透かしたのか、ディーンが説明をした。
「ここは、王族が許可をした者が通れるだけなので、気にしなくていい」
「あっ……」
通路の途中にある扉を開くと、そこはティーラウンジのようだった。既に、菓子や茶が用意をされている。驚くナターリエに入室を進め、ディーンもどかどかと中に入る。
「座ってくれ」
「は、はい」
ナターリエが座ると、ディーンは立ったまま頭を下げた。
「か、勝手なことをして、その、悪かった……ずっと……その……」
「えっ……」
「君に、意地悪を……していたので……」
「お、おやめください。殿下。そんな!」
ナターリエは驚いてディーンを止めるため、立ち上がる。頭を下げるディーンの両肩を掴んで、彼女は下から彼の顔を覗いた。
「!」
驚いたようにディーンは顔をあげてナターリエを見る。
「おやめください。もう終わったことではないですか。それに、それを言ったらわたしも……」
「違う。ナターリエは悪くない。僕が……」
「殿下?」
「僕が、ナターリエのことを好きになったのが、その、悪い、いや、悪くはないんだが……」
「え?」
ナターリエは驚いて軽く後ろに下がった。一体何を第二王子は言っているのだろう? 僕が、ナターリエのことを、好きに。
「す、すき……? とは……?」
ディーンは顔をあげて「まあ、座ってくれ」と告げた。
「お前に、会って欲しい者がいるのだ」
「えっ。どなたでしょうか……」
その問いに国王が答える前に、隣に座っている王妃が「入りなさい」と声をあげた。謁見の間は、謁見を行う者たちの出入り口以外に、王族の出入口が奥にある。そちらの扉が開いた。
「失礼いたします」
「!」
その扉から現れたのは、金髪に碧眼で綺麗な顔立ちの、だが、少しおどおどとした表情をした青年だった。
「ディーン様」
その声を聞かなくともわかる。彼が第二王子だ。ヒースは唇を引き結んだが、それへ国王からの声がかかった。
「ヒースは下がれ」
「はい……」
ヒースは仕方なく国王に一礼をした。それから、ちらりとナターリエを見れば、彼女は瞬きもせずに第二王子を見つめている。だが、それに声をかけるわけも行かず、唇を噛み締めて彼は謁見の間を後にした。
「ナターリエ」
「あっ、あの……ディーン殿下。お久しぶりでございます」
「うん。元気そうで……よかった」
たどたどしい言葉。ナターリエも困惑を隠せない。
「その……突然の、婚約破棄、申し訳なかった……」
「い、いいえ……あの……」
困って、ナターリエは国王と王妃を見る。もう駄目だ。これは、ここで再度婚約をさせられてしまうのだ。その怯えの視線に、王妃は小さく笑う。
「ナターリエ。ディーンからの謝罪を聞いて欲しいのです。奥へ」
「えっ?」
「こちらへ」
ディーンはナターリエに手を差し出した。おずおずとその手に自分の手を乗せると、ディーンは彼女を自分が出てきた扉に誘い、あっさりと謁見の間を後にした。
(ここを通すということは、わたしは王族とみなされている?)
そう思えば心が沈む。が、それを見透かしたのか、ディーンが説明をした。
「ここは、王族が許可をした者が通れるだけなので、気にしなくていい」
「あっ……」
通路の途中にある扉を開くと、そこはティーラウンジのようだった。既に、菓子や茶が用意をされている。驚くナターリエに入室を進め、ディーンもどかどかと中に入る。
「座ってくれ」
「は、はい」
ナターリエが座ると、ディーンは立ったまま頭を下げた。
「か、勝手なことをして、その、悪かった……ずっと……その……」
「えっ……」
「君に、意地悪を……していたので……」
「お、おやめください。殿下。そんな!」
ナターリエは驚いてディーンを止めるため、立ち上がる。頭を下げるディーンの両肩を掴んで、彼女は下から彼の顔を覗いた。
「!」
驚いたようにディーンは顔をあげてナターリエを見る。
「おやめください。もう終わったことではないですか。それに、それを言ったらわたしも……」
「違う。ナターリエは悪くない。僕が……」
「殿下?」
「僕が、ナターリエのことを好きになったのが、その、悪い、いや、悪くはないんだが……」
「え?」
ナターリエは驚いて軽く後ろに下がった。一体何を第二王子は言っているのだろう? 僕が、ナターリエのことを、好きに。
「す、すき……? とは……?」
ディーンは顔をあげて「まあ、座ってくれ」と告げた。