その優しさでとどめを刺して
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「すいませーん」
「あら、どうしたの?」
先生の待機場所に着くとすぐにシロが事情を説明してくれた。
「大丈夫? ここよりももっと休めるところがあるけど、そっちの方がいい?」
心配する先生に少し休めば良くなることを伝えて、その場で休憩させてもらう。
「ふぅ」
さっきまでの緊張が緩んだのか思わず漏れたため息を合図に、どっと疲れが押し寄せてくる。
あぁでもやっとひとりになれる。
そんな私のぼんやりとした思考は、隣の椅子から鳴ったガタリという音に打ち消された。
「え」
「ん?」
なんで。
声にならない疑問は、きっと隣のシロに伝わったのだろう。
困ったように笑いながら「だめ?」と聞いてくるシロに、ゆるく首を横に振る。
……そんな顔をさせたいわけじゃないのに。
駄目とかじゃなくて、私のそばにいる必要がないと伝えたいのに、どうしてわかってくれないんだろう。
あぁもうバカ。違う。そうじゃない。
シロは何も悪くないのに、こうやって全部の責任をなすりつけようとする自分が嫌になる。
私なんか置いて、みんなと遊べばいいのに。
ひとりにしないで、ずっと一緒にいてほしい。
相反する二つの思いがぐるぐると回り続ける。