その優しさでとどめを刺して
シロside

***

〜シロside〜


『シロが好きなこと、私もしたいもん!』


そう言って無理して笑った幼い顔に、心臓がどくんと脈打つのがわかった。

思えばそんなガキの頃から、俺の心は美嘉に囚われていたのだと思う。


好きになるきっかけなんて至る所に散らばっていて、それをひとつ拾うたびに、どうしようもないくらい恋の深みに嵌っていった。


例えば可愛い笑顔に、例えば明るい性格に、例えば優しい言葉に。

少し頑固なところも、かと思えば意外と押しに弱いところだって。

もう全てがどうしようもなく好きなのだ。


そして人に迷惑をかけまいとつい無理をしてしまうようなところも。

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