「とりあえず俺に愛されとけば?」




「てか、なずなに“俺のこと早く思い出せ”って言ってたじゃん!ってことは、やっぱり知り合いなんでしょ?」

「私は全然思い出せないんだけどね……」

「でも、なずなの誕生日知ってるくらいだよ」

「本当にそれ」




そう。どうして彼は私の誕生日まで知っているんだろう。




「てかいいなー、なずなだけ新商品の香水もらって」

「よくないよ!どうしよう、これ……」

「ごめん、ごめん、でも、なずなの為に作ったって言ってたよね」

「うん……」




本当に、どうしよう……。それと、引っかかっている点がひとつ。SAKURAのお店でポスターを見たときから何かが私の中で引っかかっている。

佐倉さんに渡された箱。箱に羅列した文字。



『あなたに私の全てを捧げます』
shepherd’s purse & cherry blossom fragrance



引っかかっている原因は多分これ。



「さむーい」と言ってコートのポケットに両手をツッコミ肩をすくめている香澄に箱を見せた。




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