寝ても覚めても、離してやんない


 暖離れをしろって、言われてしまった。

 わたしだって、この不眠症の原因に気付いてないわけじゃないけど……。


 依存してるんじゃなくて、好きだから……一緒にいたいだけなのに。



「いつも以上にぼんやりだね、くみん」



 ぽんと肩に手を置かれる。

 友達のニッシー。恋愛相談検定一級保持者の女だ。



「暖に、今のままじゃ付き合えないって言われた」

「ええっ、まだ付き合ってなかったんだ」

「ね。いっそ既成事実でも作ってやろうか」

「くみんって意外と行動派だよね」



 暖は、不眠症より責任を取ることを優先してくれそうだからね。



「でもそう言われる理由があるんでしょ、くみんに」

「……ニッシーは暖の味方するんだ」



 唇を尖らせて問う。彼女は苦笑を浮かべた。


< 12 / 34 >

この作品をシェア

pagetop