寝ても覚めても、離してやんない


 ――そうして、わたしは床についた。



「……」



 当然、そんな簡単に治ったら苦労しない。

 真っ暗な部屋の中、妹がくれたアロマキャンドルの香りに包まれて目を閉じ続ける。


 ……違うなあ。わたしがほしいのはこの匂いじゃない。



「うー……暖……」



 寝る前はスマホを触るなって、色んな人にさんざん言われてきた。

 暖に連絡して声を聞くのもだめ?

 充電中のスマホに手を伸ばしかけて……逆の手で止める。


 暖と付き合うため、暖と付き合うため。

 付き合ってめちゃくちゃにしてもらうんだ。



「にへ……」



 お、良い感じ。

 このまま妄想に身を委ねちゃお……。


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