寝ても覚めても、離してやんない


 放課後になったら、スマホはあっさりわたしの手元に返ってきた。



「いいか、ぜっったい、夜寝る前以外に聞くなよ!」

「はあ~い」



 でも注意が強すぎてだいたい中身が予想できるっていう。

 真っ赤になって言うもんだから、それがまたさらにだ。

 特別なことを吹き込んでくれたに違いない。



「なんて言ったの? 『くみん、愛してる……結婚してくれっ』とか?」

「っな……んなこと俺は言わねーよ」

「あ……言わないんだ。結婚しないんだ、わたし達」

「……っ、ね、寝かしつけるときに言うことじゃねぇだろって意味だろーがっ」



 まんまとわたしの口車に乗せられる暖。

 これを結婚の言質にしてやろっと。



「だーんっ」

「……んだよ」

「早くちゅーしたいね」

「っ! 勝手に言ってろ!」



 にへへ。勝手に言ってやるもんね。


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