野いちご学園 逆ハーアイドル寮



日中は1時間に一本しかバスがなく、学園に着いたのはお昼休みの時間。



遅刻した後ろめたさが消えない私は、2-Eの教室に向かう勇気がわかなくて。

上靴に履き替え、技術教室棟の階段をのぼる。



絢人(あやと)先生に失恋してから半月間、ずっと先生のことを避けてきた。



大好きな人の顔を見ると苦しくなって。

声を聴くと泣きたくなって。

失恋の辛さから、どうしても逃げたかったんだ。



でも、もう大丈夫です。

この半月で私は変わったの。



長すぎる前髪を編みこんで、瞳をさらせるようになったし。

クラスメイトに話しかけられても、オドオドしながらも会話が交わせるようになった。

そして、たわいもないお話ができるお友達もできたんです。



細田ないるちゃん。



友達が多い子だから、二人だけでべったりっていう関係じゃないけれど。

目が合うと笑ってくれて、気軽におしゃべりしに来てくれる。

私がずっと欲しかった心の友。

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