野いちご学園 逆ハーアイドル寮
生物室準備室の前。
ドアをノックしようと、こぶしを握る。
……えっ?
コンコンとドアを叩かず、固まってしまったのは
絢人先生の歌声に絡みつくように、透き通るようなソプラノが聞こえてきたから。
綺麗に重なり合う低音と高音。
歌声が踊っているように聞こえるのは、歌っている二人が笑い合っている証拠。
もう絢人先生のことなんて、諦めたつもりだった。
好きじゃないはずなのに。
なんで今、私は泣きそうになっているの?
絢人先生が誰と歌おうが、私には関係のないことでしょ?
私は人と関われるようになりました。
メンタルが少し強くなりました。
二日間で、5曲も作ったんです。
成長したところを絢人先生に気づいてほしくて、ここに来ただけなのに。
なんでこんなに苦しいの?