野いちご学園 逆ハーアイドル寮
技術教室棟の2階に着いた。
長い廊下を進めば、左手に生物室がある。
その手前が生物準備室。
私が放課後、絢人先生を独り占めしていたお部屋。
曲を聞かせたら、絢人先生は褒めてくれるかな?
真っ白な白衣をなびかせて。
眼鏡の奥の目もとをさらに垂らして。
おっとり微笑んでくれるといいな。
あっ、この声は!
まだ生物準備室にたどり着いてないのに、絢人先生の歌声が聞こえてきた。
相変わらず、歌うことが大好きな先生だなぁ。
楽しそうに歌う先生の横顔を思い出すだけで、勝手に口元が緩んでしまう。
もちろんこのドキドキは、恋心じゃない。
私はもう絢人先生のことは何とも思っていないから、間違いない。