野いちご学園 逆ハーアイドル寮
立ったままうつむき、ヒックヒックと肩を揺らしていると
「バーカ!」
私の背後から、たくましい腕が絡みついてきた。
「泣くのは、俺が喜ばせた時だけにしろ」
後ろから抱きしめるように。
私の涙を止めるように。
彼の腕が、私の目もとを覆っている。
「そろそろ気づけ。姫歌にとって本当に必要な男が、誰なのか」
ワイルドなのにものすごく甘い声。
「態度じゃなく、言葉だけで慰めようとする奴の声は聴くな」
「……っ?」
「オマエの深い心の傷を完全に癒せるのは、心までぬくもりで包むことができる運命の相手だけなんだからな」