野いちご学園 逆ハーアイドル寮
この状況を、部外者気分で見ていた環くんだったけれど。
どうやらついに、のほほんニャンコではいられなくなってしまった模様で。
「ひーちゃん、このモデルくんに近寄っちゃダメだからね。世界中の人が自分の恋人だって、テレビで言いまくってる変人だから」
とばり君から守るように私の前に立ち、両手を広げてくれた。
環くんの冷たい視線は、真ん前に立つ金髪王子様に突き刺さっている。
「ハーイ! キミはスヤスヤ王子様って女子にキャーキャー言われている、環先輩だね。顔を合わせたのは、ミスターコンテストの一度だけかな? ステージの上では目すら合わせてもらえなくて、俺は悲しかったんだよ。再会の喜びとして、心を込めたハグをプレゼント……っ……」
「俺に触るな!」
「怖い顔で、俺の腕を払い落とさなくてもいいでしょ? でも、可愛いなぁ~。美少女顔でほっぺを膨らますなんて。環先輩って、女子よりも男心を掴むのが上手なんだね」