クズとブスの恋愛事情。
なんやかんやあり、最終的に

帝王直族の騎士団と鷹司家のミキを巡っての攻防は、結局鷹司家のミキへの酷い扱いや思惑が明るみに出て断罪される形になり

ミキは鷹司家とは一切関わりのない赤の他人という事で決着がついた。


なんとか帝王に取り入って美味しい思いをしようと考えていた鷹司家は、見事にその思惑は木っ端微塵に砕かれ

こんな恐ろしい人間は、人の上に立つべきではない。だが、鷹司家の有能な仕事ぶりは無視できない所がある。

だから、鷹司家は王族のまま存続するが“帝王からいとことして縁を切る”という御達しがあり、帝王の血を引く特別な王族から“ただの王族”に格下げされた。

それでも、王族を名乗れるのだから良かったのだろうが、鷹司家当主は帝王の兄だという事で周りに鼻たかだかに振る舞っていたが

もう、そんな事はできない。

なんたって、兄弟の縁を切ると宣言されその手続きまでされてしまったのだから。


その上、これがキッカケで何かの火種になる事を懸念した帝王は、直ちに鷹司家の者とそこで働いている使用人達全ての記憶からミキが生まれた記憶。鷹司家当主が帝王の実の兄だという記憶を消し去った。

ただ、鷹司家の長男である大樹は幼い幼児であり、術により何か弊害があれば可哀想だという事で大樹だけは記憶を消す術から免れた。

まだ2才の幼児は、ここで何が起きているのか理解できていないだろうという理由からでもある。

ただ、それは大人達の大きな間違いで

とても頭のいい大樹は、ここで起きた出来事を盗み見、盗み聞きをしそれをしっかり把握、理解していたのである。

もちろん大人達の話の内容から、ミキへの仕打ちや…そもそもミキが存在した記憶をみんなが消されたという事実。

そして、自分はまだ幼いから今起きている事について理解できていないであろうという理由で、自分からミキの記憶を消さなかったという事もしっかり理解している。

とても汚くも残酷で恐ろしい自分の両親や使用人達、メイド達のミキへの扱いは幼い大樹にとって酷いトラウトとなり、自分の家の者達を軽蔑する様になったのだった。

だが、自分の行動一つでミキのような扱いを受ける可能性が高かったので、良い子を装って大人達のご機嫌取りをしなければと恐怖する大樹だ。




一方、宝来家の家族の一員となったミキは、自分を抱き締める騎士団がそのまま自分の家へ直行した事に驚いた。


…え!?

オレ、ライガの息子になるんじゃなかったっけ?

何で、この人がオレを抱えて楽しそうにしてるの?

ミキを抱っこしてる騎士の他のメンバーは、呆れたように


「浮かれて、転けるんじゃないよ!」

「…ったく!若い嫁さんに愛想尽かされてもしらねーぞ!」

なんて、顔まで覆い隠す兜をみんな脱ぎ、呆れ笑いをしつつ微笑ましそうにその光景を眺めていた。
ミキを抱っこしていた騎士も、素性を隠す為に被っていた兜を脱ぎ捨てたのを見てミキは大いに驚いた。

…だって…!


「今から、お前のお父さんは俺だぜ!これから、よろしくな!」

そう言って、ミキを抱っこしている騎士…雷我(ライガ)は、浮かれながら自分の家の中へと入っていった。


「ただいまー!俺の愛しのマイハニー!!」

なんて、浮かれて気持ち悪い事を言いながら…おそらく…高校生未満であろう少女を抱き締め

さっそく、ミキの話をしていた。


「この子が、そうなのね。…かわいい!本当は、私が産むはずだった私達の赤ちゃん。」

と、愛おしそうにミキの顔を覗き込むのは、自分が知っている時より幼い年齢であろうカイラの姿があった。


カイラじゃーーーん!しかも、ちゃんと女の子の姿してるしぃ。

でも、あれ?

カイラの口調が変わってない?

前まで、僕っ子だったのに今はちゃんと女の子の言葉使いになってる。


「誰か馬鹿な奴が無茶な魔道を発動させたせいで、時空の歪みで本来の時系列が多少ズレた挙げ句。
俺達の子供が時空の歪みのせいで運悪く間違えて別の女の腹に入っちまったって、桔梗から聞いた時にはビビったよな!」


…うわぁ〜

なんだか、それらしい話になってるけど真相は全然違うんだよねぇ〜

なんか、騙したみたいになっちゃってゴメンしか言えないよねぇ〜



「赤ん坊の桔梗がテレパシー使えるとかやべーし、自分で桔梗って名前つけちゃってるあたり普通じゃねーよ。」


それ!

オレも思ったぁ!

オレの場合、逆行して中身は18才のままだけど、桔梗はちゃんと赤ちゃんなんだよね?

もしかして、桔梗もオレと同じく中身は大人って事?

それにしたって、体は赤ちゃんなんだからそんな能力使いこなせるなんて有り得ない話じゃない?

だって、オレ

中身は18才だけど、体は赤ちゃんで何にもできないもん。


「ただ、同じく赤ん坊のショウ様の気持ちを伝えてくれるのはかなりありがたいって、ショウ様のパパやママ達は大喜びしてるけどな。…ただ、問題が…いや、これはひとまず置いとこ。考えても、キリがねー。」


確かに赤ちゃんって、泣いて気持ちを伝えようとするけど

何を伝えたいのか分からないから、大人が注意深く見て察してあげなきゃだもんね。

そこ考えると、桔梗のテレパシーで大人達にショウちゃんの気持ちを伝えるどころか、桔梗を通じて会話できちゃうんだもん!

そりゃ、パパ、ママや周りの人達にとっても、桔梗のテレパシーは本当に助かる話だよねー。


「しかも、桔梗がミキが間違えて生まれてしまった家はかなり酷い家庭環境だから、一刻も早く連れ戻す必要があるって聞かされた日にゃ焦ったな。」


……え?

そんな事になってたの?

桔梗も上手い事言うよねぇ〜。

…実際、かなり酷い家だけどさ。


「…けど、こうやって私達の元に無事に帰って来れて良かった…本当に良かった。…本当は、私がちゃんと出産して産みたかったけど。ちゃんと産んであげられなくてごめんね?
間違ったお家で生まれて怖い思いや痛い思いしたって聞いたよ?…本当に、ごめんね?」

カイラは全然悪くないのに自分のせいだと自分を責め、ミキに謝り続け泣いていた。

もちろん、カイラのせいじゃない。
悪いとしたら馬鹿な魔道を発動させて時空を歪ませた馬鹿だと、ライガはカイラを慰めつつも悔しそうにしていた。


…ズキ…


その原因はオレなんだよなぁ〜

すっげ〜、心痛むんですけどぉ〜

本当に、ごめんねぇ〜


ちなみに、ある程度落ち着いてから知った話だけど

カイラはある孤児院の前へ捨てられ、その孤児院で育ったらしい。

紫の髪と目、目の瞳孔が雷の形をしていたので気味悪がられて、まともな扱いを受けてこなかった。

みんなから仲間外れにされたり、いじめられていたそうだ。

そして、数ヶ月前に桔梗からカイラの話を聞いたライガは、さっそくカイラを孤児院から引き取り

変態にも、カイラに

“嫁になってくれ!”

と、会ったばかりの15才の少女にいきなりの告白。

こんなライガは気持ち悪い変態だろうに、なんとカイラはライガに

“この人は自分の運命の王子様だ”

なんて厨二病を発症し、一目惚れ&運命を感じそのまま役場へ行き結婚したらしい。

やば過ぎない?

やっぱ、ライガの容姿がズバ抜けてイケメンだから?

…う〜ん?

でもなぁ?オレの知るカイラはそんな感じの人じゃないって思うから…なんだろ?不思議だねぇ〜。

これも桔梗の術の失敗で、未来のライガとカイラの恋愛感情が二人に残っちゃったまま過去に戻ったとか?そんな感じ?

分かんないけど、二人が無事に出会えて恋人通り越しちゃったけど結ばれたこと凄く嬉しい!

奇跡としか思えないよね!


その流れで、桔梗の言葉を信じミキを自分の子供と疑わず夫のライガと共に育てる事になった。


ぶっ飛んだ話ではあるが、桔梗の助言(ショウのお願い)により色々と辻褄が合わなかった部分も強制補修され、宇宙空間は元の落ち着きを取り戻したそうだ。

宇宙やら補修やら、ミキにはよく分からないが。

多少幾つかの綻びができて、無理矢理だがそこを何とか直して平穏を取り戻し何とかなったらしい。



そうして、二人に愛情たっぷりに育てられたミキに、思わぬ嬉しい誤算ができた。

それは…


ミキが3才になり、宝来家の敷地内に自身の家もあり更にはライガはショウの部下であり幹部の一人である事から

という事から必然的に

宝来家の一家(ショウのパパ、ママ達“ショウの育ての親、計5名”)

と、

久遠家(桔梗の里親になったショウの部下の幹部。その妻と子ども達含む。)

と、ミキの家族である雷鳴家一家とは、家族ぐるみのお付き合いとなり
(今は、ライガはショウのパパではなく、補修からかライガの代わりに見た事のない人物が本来ライガがなる筈だったショウのパパになっていた。)


その事実に、ショウからライガを奪ってしまった罪悪感を感じ凹んだ。

だけど、ライガの代わりにショウのパパになった人物も、ショウのパパだった時のライガに負けないくらいにショウを大切にしてデレデレ。ショウもそのパパの事も大好きなので

これで良かったと思う事にした。


みんな、本当の家族同然に暮らしていた。なので、桔梗の兄弟達からもミキは可愛がられ


こんなに幸せになっていいのぉ〜

家族って凄い!

だって、こんなに幸せで満たされるなんて今まで知らなかった。


と、桔梗が毎日のように幸せ話噛み締め、その気持ちをライガやカイラにたくさんたくさん伝えるのはもちろん。

些細な事でに自分に良くしてくれるショウのパパ、ママ達や桔梗一家、更には使用人達にまで純粋で素直な嬉しい気持ちを伝えてくれるものだから

さらに、ミキはみんなに可愛がられた。

それは、ショウも同じでただミキと違うところは、ちょっとおつむが足りないし年相応という事もあり


桔梗やミキは、みんなにしっかりした言葉でカッコよく伝える事ができる事に強い憧れを持ち

自分も彼らのように、伝えたい気持ちを必死になって伝えようとするが

あまりの語彙力がなく同じ言葉を何度も繰り返すという気持ちだけは、とってもとっても伝わってくる真剣さと必死のジェスチャー付きで

みんなのハートをキュンキュンさせ射止めていた。


だが、当の本人はしっかり自分の気持ちを伝えられていないと思い込みちょっぴりションボリしている姿も

また、可哀想可愛いである。そのたびに、みんなに

「ヨシヨシね。ショウ様の気持ちはよぉ〜く伝わってるよ。ありがとぉ〜!かわいいぃ〜〜〜ッッッ!ちゅっ!」

こんな感じに、猫可愛がりされ

単純なショウは、みんなが喜んでくれてるとキャッキャ喜び

そこで、またみんなの心を鷲掴むのだった。

…だが、それを面白がらない幼児が一人。パパ、ママ達に、可愛がられてるショウを奪い取り


「ショウは俺のモンだから、テメーらが気安く触っていいもんじゃねーんだよ!本当は、お前らなんか居なくたってショウの全部俺様が面倒見れるんだからな!」

なんて、みんなに敵意剥き出しで睨み付ける桔梗には、パパ、ママ達もお手上げ状態かと思いきや


…パシッ!


「ショウ様は、モノなんかじゃない。それに、桔梗の我が儘で独占していいものでもない。お前はショウ様を悲しませたいのか?不幸にしたいのか?」

桔梗のパパが軽く桔梗のお尻をはたき、そんな風に桔梗を諭し聞いてきた。
それに対し、桔梗は


「ショウを絶対悲しませたくない!俺が、いっぱいいっぱい幸せにしたい!」

力いっぱいに、ショウへの気持ちを伝えると厳格で普段笑わない桔梗パパは、桔梗をヒョイと抱き上げると少し柔らかな笑みを浮かべ


「そうだな。桔梗は、誰よりもショウ様を好きだからな。そして、ショウ様の事を本当に考えるのならば少しの我慢も必要だ。」

と、桔梗を連れて何処かへ行ってしまった。

桔梗はショウと離れたがらず、ごねていたが「ショウ様の事で大切な話だ。だからこそ、桔梗としっかり話したい。」と、桔梗パパに言われ渋々ショウと離れ桔梗と桔梗パパとのお話し合いが始まる。

これは桔梗がショウの事で暴走、考え方が極度におかしな方向へ向かった時、毎回毎回桔梗パパは桔梗の気持ちと向き合い色々と話し合う恒例行事と化している。

これを桔梗がブツクサ文句を言いつつも、受け入れているあたり心から父親を信頼している事が分かる。

そして、それだけショウの事を想い考えているという事も。


赤ちゃんの頃からの付き合いではあるが、桔梗の考え方は相当ヤバくて…何がヤバイって

“自分にはショウさえいればいい。”

“ショウの望みはどんな願いでも全て叶えたい。”

“僅かでもショウを悲しませたり苦しませる奴がいたら存分に生き地獄を味合わせたうえで速攻で消す。”

“ショウは俺様の全て。”

みたいな?ショウを神様みたいに崇拝して崇めてて、ショウ以外みんな悪きもの。悪きものは全て滅する。

“この世界だけじゃなくて、有りとあらゆる世界を支配してショウに捧げる”だの頭のおかしい事を言ってたから。

だけど、ここにいるみんな…特に、桔梗のパパが中心格となって

桔梗の恐ろしい考え方をじっくり時間を掛けて、一般的な常識と思いやりを持てる人へと改心させるべく

桔梗の根本的にある冷酷残虐的な暴君・俺様大魔王のような考え方を改め、別の考え方でいかにショウを大切に幸せにできるか話し合い今に至ってるらしい。

もう消えた未来の話だけど、その時の桔梗を少し知っている俺は

ショウの事で何かあればブチ切れ暴走してしまう困った奴ではあるが、普段は誰もが憧れる王子様的存在で誰に対しても物腰柔らかく穏やかな紳士

だと、認識していた。


それが、まさか…


赤ちゃん時期から今現在(3才時期)も、全宇宙を滅ぼし支配しようとしている桔梗の暴走した考え方にゾッとしてしまったし

そんな桔梗をあそこまで、落ち着かせる事ができた久遠一家や周りの人達が諦めず尽力と愛情を注いで育ててくれている事にただただ脱帽である。

赤ちゃんの頃からイヤイヤ期で暴れん坊。脳内で暴走しまくっていた大魔王まっしぐらの桔梗は、両親や周りの人達に支えられ

3才になった今は、これでもかなり落ち着いた方である。



まさか、あの桔梗にこんな恐ろしい時期があったなんて驚きでしかない。

最初こそ、信じられない気持ちでいっぱいだったが、だんだんと桔梗の本質を知り家族や周りの人達の支えや根気強い教育のおかげで桔梗は大分変わった。

それに、これからも色んなものに触れ様々を知り色々と学びそれらを吸収していき、将来見たあの桔梗のようになっていくのだろう。と、ミキは考えていた。


それは、さておき。

もうすぐ、幼稚園へ入園するオレ達。

今まで色々ありどうなる事やらと思っていたが、何とか人中に出せるくらい桔梗が落ち着いてくれたと親達はホッとしていた。


何より、赤ちゃん時期の桔梗に一番効いた言葉は

“…このままじゃ、ショウ様と一緒に桔梗を幼稚園に入園させる事ができないな。

…人の気持ちを考えられない、ショウ様以外に少しの思いやりも情も持てないんじゃ…仕方ないだろ。

桔梗が3年の間に、人を思いやれるいい子になれなきゃ桔梗の幼稚園は見送るしかないだろう”


だったようだ。

それからの桔梗は、自分なりにプライドをへし折り、かなり歯を食い縛り両親や兄弟達の話にイヤイヤであるし

態度にも出ていたが耳を傾けて必死になって理解しようと頑張っていたのをミキも見て知っている。


その甲斐あって、桔梗は自分の両親や兄弟達を家族と認める事ができ

ショウのパパ、ママ達も受け入れる事が何とかできたようだった。

つまりは、ショウ以外にも心開ける人達ができたって事。


桔梗を見ていてハラハラしっぱなしだったミキも、3才にして人間らしい考え方ができるようになった桔梗に

よく、ここまで改心したと拍手喝采したいくらい感慨深いものがあった。


何より、ミキにとってもトラウマになり掛けている“桔梗封印事件”がある。

桔梗の力や考え方…あと、赤ん坊だというのにショウに対して隙あらばエッチしようとしていた頭が狂ってるとしか思えない桔梗を恐れ

ショウの実の父親は、直ちに桔梗を抹殺しようとしてショウの実の母親をはじめ

そこに居た、みんなから止められ

だが、桔梗は危険過ぎるとショウの母親の力で桔梗を封印。

だけど、封印され眠るはずの桔梗は封印された部屋で暴走。ずっとずっと、ショウの名前を呼んで泣いていた。

封印する為、用意された部屋には実はショウの実の父親が仕込んだ毒も充満していたらしい。

みんなの説得に応じるフリをして、ショウの実の父親は桔梗を亡き者にしようと目論んでいたようだ。

その気持ちもよく分かる気がする。

だって、気狂いの狂気を帯びた未知なる力を持つ赤ん坊。それが、自分の娘に異常なまでの執着と執念を持ち、性的行為までしようとしているのだ。

気持ち悪い、気味が悪い…恐ろしい。このまま、この悍ましい生物をこのままにしてはおけない。

そう考えて当たり前だろう。


そこで、色々あったらしく

桔梗を自分の子供として、しっかりとした教育をする。責任は全て自分が持つと、桔梗のパパが名乗り出て今に至るようだ。


その時の恐怖体験があり、桔梗はショウの実の父親を心の底から憎んでいる。
もちろん、ショウの母親も自分を封じたという事で大嫌いになった。だけど、自分を助けようともしてくれたから、大嫌いで踏みとどまれた。


この話は、オレの父親であるライガが一週間程家に帰って来ない時期があって

ライガが、帰って来ない1日目にミキの母親であるカイラが


「お父さんは、大変なお仕事に行っちゃったから問題が解決するまで何日か帰って来れないんだって。
でも、大丈夫!お父さんは何だってできちゃう凄い人なんだから!だから、ね?
お父さんを信じて、一緒に待とうね。」

と、優しい笑みを浮かべミキの頭を優しく撫でながら話してくれた。その手は、とても震えていて、只事じゃない何かに巻き込まれているのだと容易に想像できた。

そんな状況で、15才の子供であり若き母親が一人、自分の赤ちゃんを守る為に懸命に気丈に振舞っている。

そんな母親の姿に、ミキは心が震えるほど嬉しかったし、何より

“お母さんを悲しませたくない!”

“お母さんを守れるくらい強くならなきゃ!”

と、強い気持ちが芽生えたのだった。


そして、ライガが家に帰って来るまで

一週間の間に、ライガの身に何が起きているのかカイラはポツリ、ポツリと説明してくれた。

だから、ミキは実際にそれを見た訳ではないがカイラからの幼児用にかい摘み優しくやんわりした説明から

中身18才の元軍学生(主席)であったミキは、カイラの裏など読み取り

“桔梗封印事件”を何となく知り、ゾッとしたし

ボロボロ状態のライガが帰宅して、大慌てでライガの手当てをするカイラにこの事件の全貌をライガはカイラに説明した事によって

たぬき寝入りしていたミキは、“桔梗封印事件”の全貌を知る事となった。

だって、外見こそ赤ちゃんだが、中身は最悪の未来から逆行してきた18才…母親のカイラより3才も年上の青年なのだから。

ちなみに、ライガがボロボロなのは暴れに暴れまくったショウの父親によるものらしい。

そこに居た実力者達が、ショウの父親の暴走を止めようと奮闘した結果らしいが…ショウの父親って、どんだけ強いんだよとミキは…ブルッと身を震わせた。

あと、事件が終わり回復魔導をみんな受けている時に、新婚のライガは一刻も早く家に帰りたいと怪我の手当てを拒否して一目散に家に直行してきたらしい。

めちゃくちゃ怪我して痛いんだからさ。ちゃんと怪我治してから……

と、薄目でライガの様子を見ていたら、ある事に気がついた。

カイラに、ちゃんと怪我治してから帰って来なきゃ!とか、小言を言われつつ

ライガは、口では謝りつつ全然反省してない事が丸見えで

無事に帰って来れて良かった。と、カイラが安堵の涙を流すと、グッと込み上げるものがあったらしくライガは勢いよくカイラを抱き締め……そのあとは、大人の時間だ。

その時、ミキの存在にハッと気がついた二人は、ミキが目を覚まさない様にソッと抱き上げ子供部屋のベットへ優しく寝かせると

我慢の限界のきているライガにカイラはお姫様抱っこされ、キスをしながら子供部屋を出て行ったのだった。


だけど、ライガは性格同様あっちの方も元気いっぱいらしい。本人達は、ミキが居るからと抑えているつもりだろうが…

めちゃくちゃ激しい音が聞こえてきて、ミキは複雑な気持ちになっていた。

…だって、親がアレしてるって分かっちゃったら子供として複雑過ぎない?


なんて、なんやかんやありつつ


まあ、この3年のうちに色々あったなぁ。濃過ぎる3年。

そんな桔梗もショウには超絶デレデレベットリだけど

心許した家族や周りの人達には、ツンツンデレになっていて

素直じゃないけど、可愛い所もある桔梗にみんな、ショウやミキ同様に可愛がりに可愛がった。

しかし、未だ超問題児に変わりない桔梗は、両親や年の離れた兄弟達にこっ酷く叱られる事も多々あるが。

褒める時は、これでもかってくらい褒めてくれる飴と鞭の使い方が上手い母親や兄弟の一部のおかげで

桔梗は少々性格に難はあるが、良い子になったと思う。


あと、宝来家の一員となって驚いた事は、鷹司家とショウちゃんの家が何らかの繋がりがあったって事は知ってたけど。

逆行前、鷹司家でオレは不義の子として使用人兼大樹の影また、大樹が何かしでかす度に尻拭い&拷問(暴言浴びまくり)受けてたからなぁ。

だから、大事な事は深くは伝えられず、浅っぺらのペラペラにしか教えてもらえなかったからさ。


まさか、鷹司家当主が帝王様の実兄だとは知らなかったぁ〜。遠い血の繋がりがある程度だって思ってたからビックリしちゃったよね。

それが、逆行した今は帝王様を怒らせて兄弟の縁切られた。だけど、腐っても王族には違いない。

けど、帝王様との繋がりは切られちゃったから“同じ王族でも格が違う”“同じ王族とは別格”だなんて言えなくなっちゃうね。

…まあ、王族ってだけでもとんでもない地位なんだけどねぇ〜。



それはそうと!
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