甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~
私を抱き上げた旺志さんが、ベッドに移動して覆い被さってくる。
二年前に抱き合ったベッドの感覚すらも、体が覚えていた。


「もうどこにも行くな。絶対に俺から離れないでくれ」

「うん……」


彼の願いを受け止め、涙に濡れた瞳を緩める。


今はただ、旺志さんの事だけを考えていたかった。
何度も名前を紡いでくれた彼が、甘く激しいキスで私をとろけさせていく。


綺麗な指先で、骨ばった手で、熱い唇で。私の肌をたどり、体が暴かれていく。
獰猛な肉食獣のような欲を目に宿しながらも、その愛撫は二年前の夜と同じように慈しむように甘く、私の体を何度も高みへと押し上げた。


一糸纏わぬふたりの肌が重なり合い、旺志さんの熱を受け入れる。
隔てるものがなにもないふたつの体が繋がれば、心も体も快感と幸福感で満たされた。


甘く激しく求め合う今が、夢じゃないのだと思うだけで胸が詰まる。
この現実が消えないように、私は涙を零しながら彼にしがみつき、あの夜と同じように深く果てた。
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