甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~
四章 甘く痺れる恋情
翌朝、私は旺志さんの腕の中で目を覚ました。
先に起きていた彼は、私の額を頬にキスをして「おはよう」と微笑んだ。


同じ言葉を返し、唇を重ね合わせる。
窓から差し込む穏やかな陽光を見て、まるで生まれ変わったような気持ちになった。


ルームサービスで朝食を済ませたあと、旺志さんにすべてを打ち明けた。
昨夜は『一生話したくないのならそれでも構わない』と言ってくれたけれど、彼と一緒にいると決めたのならそういうわけにはいかないと思ったから。


旺志さんが目を伏せ、息を深く吐く。


「すまない」


そして彼は、謝罪を口にしようとした私よりも先に小さく零した。


「真白がいなくなったと気づいたとき、俺はすぐに探しに出たんだ。手掛かりはなかったが、絶対に見つけるつもりだったし、見つけられる自信もあった」


それはそうだろう、と思う。
だって、旺志さんは神室の本家の人間で、いずれは神室のすべてを背負う人。
その彼が手を尽くせば、私なんて見つけられないはずがない。


けれど、私はわかっていた。
旺志さんは簡単には私を見つけられない、と。
彼のご両親から『別れてくれ』と言われたとき、『旺志が君を見つけられないようにする』とも告げられていたから。
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