甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~
エピローグ Side Oushi
穏やかな陽光が眩しい、十一月下旬。


真白と再会してちょうど一年になる今日、俺は彼女と『明治神宮(めいじじんぐう)』で挙式を行った。
美しい白無垢を纏っていた真白は、金糸のデザインが艶麗さを醸し出す赤の色打掛にお色直しをしたところだ。


俺の隣で幸せそうに微笑む姿に、胸の奥から様々な感情が込み上げてくる。
その中で一番強く感じるのは、彼女とともに生きていけることに対する幸福感だった――。





再会した夜は、ひどく寒い日だった。
仕事の付き合いで予定外の地域に訪問することになったのが、事の始まりだ。


気乗りしない時間にうんざりして、ようやく解放されたことに息をついた刹那、賑わう路地の一角にずっと探し求めていた人の姿を見つけた。


真白らしくない派手なカラーのドレスに、濃いメイク。男性客に笑顔を向ける姿は今にも消えそうなくらい儚げで、花が綻ぶように笑っていた姿からは程遠い。


雪の中にいる彼女は、まるで別人のようだった。
けれど、一瞬で確信した。


間違いなく真白だ、と。
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