晴れない空の恋心
知ってたはずなんだ。

私を産めば、お母さんは死んじゃうことが。

代々伝わっている病気だもの。

でも今は、今はわかった気がした。

お母さんのDVDが終わる。

それと同時に、私の気持ちも決まった。

ビデオをセットして、録画ボタンを押す。

「やっほー、光莉。おかあさんでーす。」

たくさん話して、話して。光莉に言いたいこ
と、たくさんある。

こう言う時に限って全て言えないけれど。

今になっては、なぜお母さんが自分の命より私を選んだのか。

なぜお母さんは私がお母さんと同じ選択をして欲しくないのか。

よくわかる。

私も光莉にはこう選択してほしくない。

だから最後に言う。

「お母さんみたいにならないでね、光莉。」

fin〜
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