晴れない空の恋心

香菜先輩。

「あ、もしかして二葉の彼女?」

そうするといきなり先輩らしき人が話し出した。二葉くんを呼び捨てで呼んでるなんて…。親しいのかな…。ポカンとしていると、先輩はもう一言。

「二葉から聞いてるよ!」

声が2トーンくらい上がった気がした。コクンと頷くと先輩は、 

「二葉ってぇ、カッコいいけどぉ」
って、変な言い方をして、

「デリカシーなさすぎだよねぇ。」
と、二葉くんの悪口を言った。思わず、

「二葉くんの悪口を言わないでください!」
と言ってしまった。

「はぁ?後輩のくせにうるさいんだよ!」

次の瞬間、先輩が私を突き飛ばし、壁に強く頭をぶつけた。

「痛っ、」

突き飛ばされたときの驚きと不安でポロポロと涙が溢れ落ちた。それと同時に雨がポツポツ振り出した。

「あーあ、天気予報では晴れだったのに。」

「あのっ!それはいくらなんでも酷すぎじゃないですか?」

未那が言ってくれたが先輩はそのまま教室に姿を消した。こんな姿見られたら、二葉くんがあの人みたいに居なくなってしまうかもしれない。

人はなんで恋をするの?こんなに切なくて苦しい恋を。どうせ、いつかは全て失うのに。
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