極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
「それが……」


そこでようやく私の存在に気づいたらしい彼は、一瞬焦ったような顔をしたあとで馬場園さんに耳打ちした。


「……バードストライク?」


彼女の眉がひそめられ、次の瞬間に席を立った。
まだおかずが残っているトレイを持った馬場園さんを見て、私は咄嗟に口を開く。


「あの、バードストライクって……!」


詳しくは知らないけれど、言葉としては聞いたことがある。


以前観たパイロットもののドラマで出てきた航空用語で、ドラマ内ではトラブルが起こった。しかも、決して看過できるようなものじゃなかったはず。


不安に駆られる私に、彼女が眉間の皺を深くして嫌悪感をあらわにした。


「あなたに話したところでなにもわからないでしょう? そもそも、部外者なんだから首を突っ込まないで」


馬場園さんは私だけに聞こえるように言い置き、冷たい視線を残して立ち去った。


ひとりきりで取り残された私は、程なくしてハッとする。
コーヒーが残ったカップを食器の返却口に置き、急いで展望フロアへと向かった。

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