極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
まだ安心はできなかったものの、まずは息を大きく吐いた。


八〇三便の到着ゲートに向かい、大きな窓の外を見る。滑走路には、何機もの航空機が待機や離着陸していた。


(大丈夫……! 樹くんなら、きっと大丈夫……!)


幼い頃から、樹くんは私にとって頼れるお兄ちゃんだった。
困ったことがあっても、トラブルに見舞われても、彼がいれば不思議といつも大丈夫だと思わせてくれた。


自分を励ますように、過去の記憶を振り返る。
そのさなか、ひとつの覚悟が決まった。


(樹くんが帰ってきたら、ちゃんと全部話そう。私の気持ちと、これからのこと……)


大きな不安の中でも、もう迷いはなかった。


【羽田で待ってます】


メッセージにそう打ち込み、続いて自分が今いる場所も添える。
あとは、ただただ樹くんの無事だけを祈り続けた――。

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