極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
「それより先に、体の関係を持ってしまった。雰囲気に流されたのもあるけど、たぶん自分で思ってるよりも浮かれてたんだと思う。俺に笑顔を向けてくれる芽衣が可愛くて、普段なら酔わない量しか飲んでなかったのに理性が働かなかったんだ」

「それは、私だって……」

「うん。でも、俺は流されるべきじゃなかった。芽衣が大切だからこそ、ちゃんと順序を踏むべきだったんだよ」


きっと、樹くんはあの夜のことをずっと後悔していたんだろう。
私と体の関係になったことに……ではなくて、告白する前にああなってしまったことに。


「目が覚めたとき、後悔と罪悪感でいっぱいになった。ただ、それでも俺は、これで芽衣と付き合えるかもしれないと思ってしまったんだ」


「ずるいだろ」と、彼が自嘲の笑みを浮かべる。


「でも、芽衣は『気にしないで』なんて言い出すし、俺は芽衣の気を引くのに必死で告白どころか結婚の提案をしてしまうし……」


こうして話を聞いてみると、本当にめちゃくちゃだ。
最初からきちんと素直に向き合っていれば、もっと早く簡単に解決したんじゃないか……と思うくらいには、私たちは噛み合っていなかった。

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