極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
「芽衣の言動で、俺は改めて男として見られてないって思い知らされて……。だから、困ってる芽衣に付け込むような形で結婚に持ち込んで、少しずつでも振り向いてもらおうって考えたんだ。一度寝た以上、どうせもう元の関係には戻れないしな」


樹くんが「幻滅した?」と苦笑する。


「芽衣が思ってるほど、俺は誠実でも真面目でも大人でもない。芽衣の前では必死に取り繕ってるけど、本当は年下の幼なじみにまともな告白もできないような男だ」


私は必死にかぶりを振り、彼の手をギュッと握った。


「幻滅なんてしない」

「芽衣……」

「私だって、あの夜は浮かれてた。樹くんとの時間が楽しくて……幼なじみと寝たら元には戻れないかもって思わなかったわけじゃないのに、雰囲気に流された。でも、相手が樹くんだから……初恋で憧れの人だったから、一度くらいって思っちゃったの」


こんなこと、樹くんには絶対に言えないと思っていた。
彼にあさましい自分を知られたくなくて、幻滅されたくなくて……。だから、取り繕うように平静を装い、『気にしないで』なんて強がってみせた。

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